2014年ヴィンテージを最後に⾧い歴史に幕を下ろした
クロ・ロッシュ・ブランシュは、数多くのナチュラルワインの
造り手に大きな影響を与えてきました。
また、クロ・ロッシュ・ブランシュの畑を引き継いで、ファネッティ
ボワ・ルカ、ノエラ・モランタン、ローラン・サイヤール、
ジュリアン・ピノーなどのドメーヌが次々と誕生していきました。
そのクロ・ロッシュ・ブランシュの醸造所を借りて、
2018 年にナチュラルワインのミクロネゴスを立ち上げた女性がいます。
パリから移住してきたマリー・ロシェです。
1978年にパリで生まれたマリーは、16歳の時にヴァランスの
三ッ星レストラン『ピック』に両親と食事に行ってワインを試飲し、
そこでワインに魅了されました。
高校卒業後は、父の友人であった
マルセル・ラピエールでのブドウ収穫に参加します。
美しい秋の空と太陽の下、フランスや世界中から集まった様々な人達と
寝食を共に過ごした1ヶ月は、マリーにとって今も忘れることができない
幸せな思い出となっています。
その後、マリーは5年間、毎年マルセルでのブドウ収穫に参加しました。
2年目からは収穫の責任者も任されていました。
その時から、ワインはマリーにとって料理と同じアール・ド・ヴィーヴル
(暮らしの芸術=人生をより良く暮らすためのライフスタイル)となったのです。
このラピエールでの経験からマリーはナチュラルワインを味わうことが
自然な習慣となり、90年台後半から2000年にかけてパリでナチュラルワインを
提供する店が増えてきた時期に、ラ・レガラード、
カムドボルド、ティエリー・ブルトン、ル・バラタン、ル・ヴェール・ヴォレ
といった店に頻繁に通うようになりました。
大学で地理学と都市計画を学んだマリーは、その後、
フランス国外内の同分野の会社で10年近く働いていました。
2010年も近くなった頃、マリーは自分の情熱のままに生きたいと
考えるようになり、父と共に仕事をするようになりました。
マリーの父ジャン・ポールは書籍の編集者で、
マルセル・ラピエールと親交が深く、ジュール・ショーヴェの
テイスティングの本などを出版していました。
その関係で、マリーはフランス各地で行われるLes Vins du CoinやViniCircusや
La Beaujoloiseといったナチュラルワインと本の
サロンに参加するようになったのです。
そこで数多くのナチュラウワインを味わって味覚を鍛えていきました。
また、並行して天然酵母によるパン作りも学びました。
パン作り好きで知られるピエール・オヴェルノワは家族ぐるみの友人で、
マリーがジュラのオヴェルノワの家の近くのブーランジェール(パン職人)の下に
滞在していた時には、オヴェルノワと一緒にいくつかのパンを作ったそうです。
2015年9月からはロワールのレ・カプリアード、エルヴェ・ヴイルマード、
ミカエル・ブージュで醸造を経験。
翌年にはパリからロワールに移住して、
アンボワーズのビオロジックワインの学校に入学。
並行して、ブリュノ・アリオンのドメーヌで栽培と醸造を学びました。
そして、2018年、クロ・ロッシュ・ブランシュの元醸造所を借りて、
ミクロネゴスを立ち上げたのです。
2020年7月に隣村のプイエに醸造所を移しましたが、
クロ・ロッシュ・ブランシュのディディエ・バルイエとカトリーヌ・ルッソルは
今も醸造面でマリーの手助けをしてくれています。
VIVITの資料より。
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