たまに気がむくと、パリのワイン専門店やレストランの催しに呼ばれて、
パリに出てくるのですが、遅刻して登場するので有名です。
「合田さん、シュレールって知っている?」と
ローヌの素晴らしい造り手マルセル・リショー
(1996年を境にヴァン・ナチュールに転向)から
名前を聞いたのは1997年のこと。
それがきっかけで、私はヴァン・ナチュールの造り手に出会いました。
シュレールは、若いヴィンテージでもテクスチュアーがやわらかく、
ゲヴュルツトラミナーやリースリングの品種特徴と思っていた
アフターの苦さがなく、ピュアで、イタリアワインに感じるようなユニークさや
創造的なニュアンスが強く印象に残りました。
しばらくして、ブリューノの奥さんがイタリア人で、
イタリアの食べ物とワインが大好きで、
フィレンツェ郊外でサンジョヴェーゼを作ろうとしていることを
知り納得しました。
父上のジェラールはもっぱら畑を担当していますが、
何十年にもわたって一度も除草剤、化学肥料を使っていない畑は
健全そのもので、収量をできるだけ低く抑え、
濃縮度の高いブドウが栽培されます。
中くらいのフードルを使いシュール・リーで、
酸化防止剤の使用を可能な限りおさえ熟成させたブリューノのワインは、
独特の風味を備え、するどい酸が奥行きのある果実味をしっかりと支え、
高いレベルでバランスが整い、
ミネラリーな味わいに支えられた凝縮度の高い見事なワインです。
ブリューノが作るワインは、もっともヴァン・ナチュールのスタイルを
あらわしているアルザスワインだといえるでしょう。
目の前の新たな素材に興にのって、
次々と新しいレシピを考える天才シェフのように、
ブリューノは毎年毎年のヴィンテージの違いを楽しみ、
自由な感性でワインを仕上げていきます。
ジェラール&ブルーノ親子が作るワインは、
もっともヴァン・ナチュールのスタイルをあらわしているアルザスワインであり、
また何にも束縛されない自由な感性と自然なワイン作りだけが
実現できた味わいだといえるでしょう。
アペラシオンを超えて評価されるべき偉大なワインであり、
そのユニークで優れた感覚とシュレール家の
あたたかで深い人間性を映し出した味わいは、
ワイン味わう喜びを必ずあなたに届けてくれるにちがいありません。
合田 泰子
創業年:1958年
ドメーヌ解説: もともと16世紀頃から続く栽培家の一族、
1950年代末にジェラールが自社醸造を開始、
1982年からブリューノが参画。
ラシーヌさんの資料より
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