クリスティアーナとアントニオは農夫のように
丁寧な畑の手入れを心がけていますが、
常に現代的な、あるい は既存の視点とは
別の視点を持つことを心がけています。
ティベリオ兄妹の目標はただひとつ、
品種と産 地を明確に語るワインを造ることです。
醸造を担当するクリスティアーナ自身は、
10代の頃からワインの魅力に取りつかれていたので、
古い年 代の様々な国のワインを飲むことが出来たのは
幸運だったといいます。
というのも、様々なスタイルのワインに触れ、
それらを比べながら飲んできたことで、
あるとびぬけた個性を持ったワインが、
他のワインと比べてどれどけ、
どのような点が違っているかを
感じ取る訓練になっていたからです。
その経験のおかげで、古樹の畑からの
セレクション・マサルで植樹した
新しい区画のワインが、明らかに他の区画と違い、
自分の造るその他のワインとは違う醸造をするべきだ、
と気づくことが出来たと語ります。
畑・栽培について
ブドウ栽培は主にアントニオが担当。
現在のワイナリーでは地場品種(ペコリーノ、
トレッビアーノ・ アブルッツェーゼ、
モンテプルチアーノ)の
古木を大量に選んで植えており、
マイエッラ山(2,793m)と グラン・サッソの山々
(アペニン山脈の最高峰 2,912m)に近い
クーニョリ地区にあります。
ブドウ畑は 海抜330〜360メートルの間にあり、
昼夜の温度差が大きく、
比較的涼しい微気候に区分されます。
所有 する30haの畑は、いくつかのプロットに
分割されていますが、全てセラーに近くにあります。
トレッビアーノとペコリーノは、
主に石灰岩の土壌に植えられていて、
山と海からの涼しい風と相まっ て、
バランスのとれた酸味と骨格を特徴とする
ミネラル感のあるワインを生み出します。
モンテプルチア ーノは、石灰岩と粘土の混じった
土壌に植えられています。
古木の8ha以外は全て2000年代に植えられており、
古樹を植え替える必要がある際も
畑全体を植え替えることはせず、
必要に応じてブドウの樹単位で交換していきます。
植え替えの際の穂木はもちろん
セレクション・マサルです。
*トレッビアーノ・アブルッツェーゼ
クリスティアーナは
「トレッビアーノ・アブルッツェーゼは
トレッビアーノ・トスカーノとは全くの別物だ」と
繰り返します。
現在、アブルッツォ州の多くの畑には、
トレッビアーノ・トスカーノ、モストー ザ、
ボンビーノ・ビアンコが栽培されており、
トレッビアーノ・アブルッツェーゼと
混同されてきました。
この4つの品種は似たような特徴ですが、
クリスティアーナは
「トレッビアーノ・アブルッツェーゼは
高貴かつ繊細でライトボディーでありながら、
より深みと複雑さを持つワインを
生み出すことが出来る」と自信をもって話します。
「これらの品種は、
あまりにも長い間混同されてきたため、
苗木屋でさえその違いを認識してこなかった。
トレッビアーノ・アブルッツェーゼを
植えようとする人々に対し、悪気無しに、
これらの他のブドウの樹を送り出してきた。
この地域にあるトレッビアーノ・アブルッツェーゼの
畑の大部分は、土壌、日当 たり、
台木、品種でさえも異なる
様々な品種が混在している。
それでは最適な収穫日も決めようがなく、
トレッビアーノ・ダブルッツォの評判を
下げることにつながった。
私たちの父、リカルド・ティベリオが
このワイナリーに興味を持ち、
前職の他のワイナリーを辞めて、
自分のワイナリーのオーナーとして
新しい人生を歩み始めたのは、
このトレッビアーノ・アブルッツェーゼの
古株の畑がきっかけだった。
樹齢の高い健全なブドウの美しい畑には、
そんな力がある」
*ペコリーノ リカルドの購入した古いブドウ畑には
ペコリーノも植えられており、
姉弟はその畑から穂木を選び、
少しずつ栽培面積を増やしていきました。
クリスティアーナ「ペコリーノは
2010年以降人気を博しており、
栽培面積も増えているが、残念ながら、
アブルッツォ州に新たに植えられた
ペコリーノのほとんどは、
この品種が最大限の力を発揮できない平地の畑に
植えられることがあまりにも多い。
海辺の畑や標高の低い場所に植えられたブドウは、
糖分の蓄積が非常に早いため、
収穫タイミングも早くなり、ポリフェノールが
完全に熟すことはほとんどない。
現在市場に出回っている多くの
薄くて酸っぱいペコリーノワインは、
この品種の個性を全くと言っていいほど
表現していない。
なぜならペコリーノの自然な生息地は、
より高い丘陵地や山の斜面だからだ。
真に偉大なペコリーノワインは、
常にリッチでグリセロールに富み、
触感の良い口当たりでありながら、
高い総酸性に恵まれており、
それによって質感と活気のユニークな組み合わせを
提供している
セラー・醸造について
ワイン醸造は確固たる意志と、
澄んだ知性の持ち主である
クリスティアーナが担当しています。
彼女は 化学を専攻し、シャンパーニュ地方と
オーストラリアで研修を受け、モーゼルとシャブリへも
何度も足を運びながら知見を広げ、
2011 年にワイン醸造の全業務を引き継ぎます。
ステンレスタンクで自然酵母醗酵。
プレスは一切行わず、フリーランジュースのみを使用。
標準的なワ イン醸造レシピに従わないのは、
ブドウやテロワールが “できないことを
無理強いしない” ためです。
クリスティアーナの父親は反対したそうですが、
ステンレスタンクによる醸造という選択についても、
「ブド ウがそれを望んでいる」
から行っているという、
彼女の感性と視点は非常に興味深く、
マロラクティック醗酵もあえて行わないことで、
ワインに特有の緊張感を与えます。
広いセラーは整然とタンク類が配列され、
衛生状態も入念なチェックを受け、
全体として森閑とした気 配さえ感じさせる趣があり、
醸造家の精神が細部にまで
行き届いていることが分かります。
ティベリオでは、
エントリーレベルのワインを4種類と、
少量生産の特別キュヴェを3種類造っていますが、
当初は高価格帯のワインを造ることは
考えていなかったそうです。
けれども土壌を調べ、その土壌 に合った品種
(セレクション・マサル)を植え、
毎年醸造を繰り返すたびに、
明らかにその土壌から出来上がるワインが
特別な存在であることが分かりました。
エントリーレベルのワインはステンレスタンクで
1〜2年の熟成するのに対して、それらの区画は、
熟成を樽で2年以上行い、
瓶詰後も休ませてからリリース しています。
ラシーヌさんの資料より
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