まずワインを造っている責任者は女性、
それもチリからフランスに来たオノロジストです。
彼女の名はPaula Godoy、1975年8月19日生まれ。
チリの大学で醸造学を勉強し、
チリのワイナリーに勤務しておりました。
そして勉強のため、 収穫時期の違うカルフォルニア・ソノマに
2001年に醸造をしていた時に今のご主人に出会います。
彼はフランス人の同じオノロジスト、2人は結婚して
2006年からフランスに移住を決意。
今は別々の南仏のワイナリーで働いております。
女性で大きなワイナリーの
責任者のポジションに就任するのは大変です。
パウラは経験・知識は本当に豊富で、
体は小さいが持ち前の根性と感性で
ジャック達のワインを1人で切り盛りしております。
彼女は現在醸造をしっかり身につけているので、
どんなワインも造る事が出来ます。
ただ完全なナチュラルワインには
どうしても彼女は納得しておりません。
それはオノロジストの宿命、リスクは取りたくない、
そして安定した健全な問題の無いワインを
造るのが彼女の使命だからです。
ですので時にはビ オの酵母菌を添加したり、
SO2を使用します。
しかしオーナーのジャックは無農薬のブドウで、
出来るだけ自然に近い味わいを求め
パウラと色々話し合い、今の形が出来上がりました。
これはジャックとパウラだから出来た事です。
普通この品質を、
これだけの大きなインフラレベルでは出来ません。
まずここの収穫は機械で行います。
手で収穫すると、その経費は
ワイン代金に跳ね返るからです。
そのため、収穫は温度の低い夜中の
2時〜8時の間に行います。
そして全部のブドウは集まった白とロゼは
どんどんプレスを始め、
その日のお昼にはプレスが完了しております。
そのスピード感でワインを健全にプレスします。
そして250hlの大きなタンクに入れ、
温度を5度に下げ、24時間そのままにします。
翌日上澄みの部分を他のタンクに移し替え、
max15度の温度に コントロールして
醗酵を促進させます。
安全に醗酵を促進させるため、
ビオの酵母菌を添加します。
結果、10日間で醗酵は終わり、
その後マロは行 わないよう低温管理します。
普通、こういう現代醸造を行う時は
必ずSO2を添加します。
しかし入れずに行うため、非常に気を使います。
赤ワインは収穫後、半分エグラッペをして
タンクで65度迄温度を上げます。
それは醗酵を早く行い、
後のマロラティックも起こりやすくするためです。
タンニンの抽出度、色合いや渋みの
抽出度によりけりですが
大体4〜12時間と幅が広いです。
一度温度を上げすぐにプレス、
そしてビオの酵母菌を入れて醗酵させます。
醗酵からマロまで1週間で終了します。
残りの半分は伝統的な造りをします。
収穫後エグラッペして、ビオの酵母菌を添加して
タンクで約7日間醗酵、
そのまま1ヶ月マロラティックをします。
そしてこの2つを最後はブレンドして味わいを調整します。
考えてみるとある意味合理的な
リスク回避管理醸造かもしれません。
このワイナリーは今まで私が選んだ
完全ナチュラルワインとは違うコンセプトです。
無農薬のブドウで、SO2を入れずに低価格で安全に
事故無く大量生産するための醸造方法です。
折りたたむ