★インポーターの資料です
「シュタッド・クレムスはその起源を、バーベンベルク家のレオポルド4世男爵が1210年に設立した病院所有のワイン畑と、
1452年のウルリッヒ・フォンダハスベルクによって寄進された畑のふたつにまで遡ることができる。
伝統のワイン生産国オーストリアにあっても最も長く輝かしい歴史を誇るワイナリーのひとつだ。
クレムスは往時にはウィーンをも凌駕する大都市で、1305年の市の憲章には
「わが市の名誉はそのワイン畑に宿る」と記される程銘醸地としての誇り高い街。
かつてはそのテロワールの素晴らしさを評価され、ドイツ語圏の50以上に上る王や市町村が、
ワイン畑をクレムスに所有していたという。19世紀にカンプタールが、第二次世界大戦後にヴァハウが注目される以前からの、
由緒正しい銘醸地であるという誇りと落ち着きが、この町には感じられる。
シュタッド・クレムスの畑とワイナリーは長くクレムス市が所有して来たが、現在は30haの畑をクレムス市が所有し、
ワイナリー自体は会社組織となり、より高品質のワインを造るための意思決定が迅速かつ柔軟に行われる体勢になった。
もうひとつの大きな変化は、2003年の夏よりフライエ・ヴァインゲルトナー・ヴァッハウの名ワインメーカーとして知られた
フリッツ・ミースバウアーがゼネラル・マネージャーとして就任したことだ。
フィリッツはFWWを「世界一高品質なワインを造る協同組合」に仕立て上げた立役者でありながら、
そのあまりの品質管理の厳しさから組合員の反感を買い、突然一方的にFWWを解雇される。
シュタッド・クレムスのワインの品質が一挙に向上し、銘醸畑のポテンシャルを遺憾なく発揮し始めたのは、
ワイン造りへの情熱と才能に溢れる、このフリッツが手がけた2003年ヴィンテージからである。
シュタッド・クレムスは低地オーストリア一帯、特にドナウ川付近の銘醸地帯のワインが持つ、
生き生きとした果実味や土壌由来のミネラルやスパイス、フィネスと複雑さ、といった性質を余すところ
無く表現するワインを造ることを心がけている。同ワイナリーは、グリューナー・ヴェルトリーナーはレスやロームの土壌に、
リースリングは原生岩の土壌に、という具合に最良の適地の斜面を選んで植え分けられた、
歴史的な銘醸畑(テラス状畑)を所有する。さらに各畑の土壌や方角、斜度、風の強さ・・・といった
各畑のテロワール特性をできるだけ果実風味に封じ込められるよう、最大の努力を払っている。
最適な状態で収穫するため、ブドウは全て手摘み。辛口ワインであっても、ひとつの畑を何度にも渡って、
入念に最適果を選びながら収穫が行われる。収穫されたブドウには一切果汁調整を行わない。
即ちスキンコンタクトなし、培養酵母の添加なし、MLFなし、そして如何なるカタチの醗酵補助剤の助けを借りることもない。
全てブドウの自然の力だけで、ステンレス・スティールタンクかオークの大樽で醗酵が行われる。
2004年ヴィンテージからはグラス・ストッパーを導入するなど、出来上がったワインの品質に最後まで責任を持つために、
日々研究を重ねる、真摯なワイナリーである。」