グッサーゴとチェラーティカの中間に位置する標高350m の畑。
氷河の影響を受けた西側と違い、強烈な粘土質と 石灰質を持った素晴らしい土地。
アレッサンドラの考える栽培理念は、
「限りなく土地への介入を減らす事」だという。
これ までの8年間、ただの一度も土地を耕転したことは無く、
雑草についても基本切る必要はないと考えている。
冬の剪定と 初夏の誘引、収穫以外極力手を加えたくないと話すアレッサンドラ。
2haの畑からたった6000本という少なすぎる生産 量だが、
今の彼女にとっては十分な量だという。
華奢な彼女がたった一人で栽培から醸造まで行うには、
今の量が限界。 初めからフランチャコルタという名前に
全く興味がないと話す彼女。
しかし、ブレーシアで生まれ育った彼女にとって、
スプ マンテの存在はやはり特別であり、
その魅力に取りつかれている事には間違いありません。
彼女の求めているものはフラン チャコルタという名前ではなく、
グッサーゴという土地であり自分の好きなブドウの表現。
フランチャコルタ以上の存在を意識していると
言ったほうが正しいように思います。
収穫は周囲の生産者よりもやや早い、それは強靭な酸が必要と考えているため、
ただ酸だけでなく果実の香り、味わ い、フレッシュ感も同等に大切という。
その絶妙なバランス感を見極めるために、収穫は樹ごとに見極め、
5〜6 回に分けて 収穫するという徹底ぶり。
このバランスを持ったブドウは、除梗せずごく僅かな圧でプレスする。
果皮との接触は意識していないが、
長い時間をかけて圧搾することでより繊細さを、
更には初期醗酵を促す働きにもなる。
そして、彼女が何よりも尊重しているのが原酒の存在。
圧搾したモストは温度コントロールや酵母、SO2の添加など一 切なく、
小型のセメントタンクで自発的な醗酵を行う。
そのため、アルコール醗酵が終わるまでに1ヶ月以上のかかることがほとんど、
さらに木樽で約 12 か月の熟成。原酒に十分な時間を費やし、
木樽で熟成することで強く酸素との接触を促し、
果実そのものの味わいだけでなく醗酵中に生まれる複雑さ、
そして木樽で起きる酸化熟成による香りと、
味わいの幅の広がりを考えている。ティラージュに用いるのは2012年の収穫より
様々な手法で醸造したリザーヴワインと、極僅かな糖 分(サトウキビ由来)、
酵母を加えて瓶内2次醗酵。
ベースであるブラン ド ブランで 24ヶ月、
昨年末初リリースとなった ブラン ド ノワールではなんと60ヶ月もの間
オリと共に熟成期間を取る。
そしてSO2は一度も加える事がないという徹底ぶり。
そして原酒の豊かさと果実を最大限表現するため、
すべてのワインにおいてドサージュ一切行わない。
というよりは、 行う必要がないほどの原酒がすばらしいと言う方が
正しいのかもしれません。
誰かに教わった訳でなく、最良のワイン造りに最短距離で到達するかのような
研ぎ澄まされた感性と行動力。
まだ 28歳という若さと、一見造り手には見えないような華奢なアレッサンドラ。
しかし、ワインへのこだわりと強い信念は、
まるで熟 練の造り手と全く変わりがありません。
さらに言えば、この柔軟な発想には驚かされることの方が多いかもしれません。
素晴 らしいセンスと、こだわりを持った若き造り手。
これからが楽しみでなりません。
エヴィーノさんの資料より
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