栽培・醸造
ロワールでは、年によっては夏が涼しくなることがあるため、
熟してしっかり味がのったブドウを育てるには、
何よりも収穫量を抑えなければいけません。
そのことを気にして、最初の2年は冬の剪定を短くしすぎてしまい、
収量は極僅かの10hl/haになりました。
果皮をしっかりと厚くし、ブドウが成熟するまで樹に生らせて待てるのは、
ブドウの樹齢と地質にもよりますが、彼の畑であれば
30hlくらいまでの収量なら大丈夫です。
しかし彼は、何より優先するのは「品質」と考えて、20hlを越えないように
しっかりと剪定しています。
1株に2枝伸びる仕立てにして、各枝に4芽が出るように、
非常に短く剪定します。
4月に入り、芽吹きして展葉しはじめると、株の芽欠きや、
余分な細枝を一つ残さず取り除きます。
土を耕すのは、2頭の馬。土を固めないから通気性が保てて、
小動物が育ちやすく、生きた土作りに良い影響が出るとのこと。
トラクターより仕事のスピードは遅く効率が悪くても構いません。
逆にブドウの樹を1本ずつきちんと見ることができるため、
木の生育具合が良く分かるのだそうです。そして馬が疲れたら休憩する。
馬をいたわる気持ちは、自然を一番に考えて農業をする意識を持たせてくれます。
「馬で耕していると自分が自然に調和したような感覚になります。」と、
シルヴァンは語っています。
とても生産量が少ない蔵ですが、自分にできることを最大限して、
美味しいワインを造りたい。飲んで喜んでくれる人が一人でも多く
いてくれれば嬉しい、という思いが伝わってきます。
2haのブドウ畑は、1992年からビオロジック農業の認定「カリテフランス」を
取得した区画。
80%がシュナン・ブランで、20%がグロロー・ノワールです。
収穫は手摘みで、ブドウがつぶれないように
小さなプラスティックケースに入れて運びます。
醸造について
圧搾機は木製垂直式(手動タイプ)
白ワインは絞った果汁を タンクでデブルバージュ(清澄)した後、
古樽に移して天然酵母による醗酵。
こうすると樽ごとの醗酵の遅れが出にくくなります。
冬、低温になるとアルコール醗酵は中断しますが、清澄度が増します。
春になり気温が上がると、醗酵が再開します。そうして醗酵が終わって、
ワインは熟成しながら、もう一度次の冬を越える間に、
ワイン中の余分な成分が澱となって自然沈殿します。
時間がかかっても、ワイン自体のリズムを尊重してワイン造りをすると、
人為的な清澄やろ過をしなくても済みます。
赤ワインは、房ごとタンクに入れて、醗酵・マセラシオンさせます。
その期間はブドウの成熟具合によって違いますが、およそ15日です。
その後、古樽に入れて熟成に移ります。
白・赤ワインとも全ての段階において、木樽の内部を燻蒸する以外、
SO2を一切使わずにビン詰めします。
当然、「ブドウ以外の物質」を全く添加しないワイン造りをしています。
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