僅か4.5haの畑から造られる彼のワインは、知る人ぞ知る入手難のサンセールで、
熟成を経て真価を発揮する、その圧倒的な品質によって
日本でも根強いファンを得ています。
生産量は非常に少ないながらも、古くからアメリカなどに輸出をしたり、
1970年代に日本人の研修生を受け入れたりと
グローバルな視野でワイン造りに取り組んできた生産者でもあります。
ワインの味わいに関しては、素朴さの中に濃密で複雑な風味を持っており、
それを品のよい酸と上質なミネラル感が支えているという
非常に美しいバランスを持ったスタイルに仕上がっています。
若いうちは、白い果実やハーブといった上品で爽やかな香りが印象的ですが、
2年から3年の熟成を経ることによって、
蜜のような甘い香りとともに熟したブドウの
あふれんばかりの果実味が感じられるようになります。
素朴で控えめなワインの奥に秘める圧巻の説得力こすが
エドモン・ヴァタンのワインの真の魅力と言えます。
「終わりのない伝説など存在しない」というのは世の常ですが、
高齢となったエドモン ヴァタン氏自身は、
2007年を最後に引退する事となりました。
二人の娘しか持たないヴァタン氏は、下の娘であるアンヌに、
畑を引き継がせる事にしました。実はこのアンヌ、
ロワールを代表する偉大な造り手であるクロ ルジャールのオーナー、
ナディ フコ氏の奥様であると言います。
名実共にロワールのトップである夫の助けのもと、
アンヌが2008年に手がけたワインは、エドモン・ヴァタンの畑の中でも
モンダネの丘の中腹に位置する特別な区画、
「クロ・ラ・ネオール」と呼ばれるわずか1haの畑です。
ヴァタンの所有する畑の中でも別格のテロワールを有する
この畑名入りのサンセールは、古くからつくられていたものの、
ほとんど輸出される事がなかったために、
日本ではまったく無名の存在と言えます。
しかしながら、エドモン ヴァタンの神髄であり
シャヴィニヨールの神髄とも言うべきこの畑からは、
極限まで高められたソーヴィニヨン ブランのポテンシャルと
美しさを詰め込んだ特別なサンセールが生まれます。
野村ユニソンさんの資料から
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