同じくボジョレーの生産者であるミシェル・ギニエを通じて、
借り手を探している畑があるとの情報が入ります。
この高品質なワインを造るのに適した、しかし仕事は過酷となる畑を
イヴォン メトラはジュリーに紹介します。
「自然で、飲み心地に優れたワインを本当に造りたいと思うのであれば」と…。
そして、文字通りこの畑に一目惚れしたジュリーは、
フルーリーの地で自らのワイン造りをスタートさせます。
彼女の畑は、畑が集中するエリアからは少し離れた山の奥まった場所にあります。
比較的標高も高く、急な斜面となっている為に、
ここでの作業は簡単ではありません。
トラクターや馬であっても耕すことが難しい部分があったり、
防除作業などでは重い道具を抱えて急な斜面の
登り降りを繰り返す必要もあります。
しかし、豊かな森によって守られ、その他の畑などから
独立しているこの畑は、彼女の理想を追い求める上では申し分ない畑でした。
ここでの栽培はもちろん自然を尊重したアプローチを採用し、
ひとつひとつの畑作業を自らの手で丁寧にこなしていきます。
畑の周りにはロバや牛を飼い、ゆくゆくは耕耘や冬季の放牧による
除草などを考えていると言います。
彼女が手がけるこの3haほどの区画は、土壌の質の違いで、
さらに3つほどの区画に分けられると言います。
花崗岩土壌で樹齢40年ほどアン・レモン、玄武岩土壌で樹齢30年ほどの
カイエンヌ、クオーツと砂質で樹齢60年ほどのラ グランド ローズ。
収量が十分確保できるなど理想的な条件に恵まれれば、
この土壌の質ごとにキュヴェを仕込むことを目指していると言います。
醸造においてもアプローチは極めてシンプルでナチュラルなものです。
自然酵母による醗酵、醸造中には亜硫酸を原則添加せず、
補糖・補酸などの人為的な介入を行いません。
ワインが安定状態になるまで熟成させ、月の満ち欠けのサイクルを見極めて
理想的なタイミングで瓶詰めされます。
こうして造られるジュリー・バラニーのワインは、
フルーリーの特徴である女性的な繊細や柔らかな果実味を備え、
同時にいきいきとした果実の風味がつまっています。
ナチュラルな飲み心地は余韻まで続き、
それでいて芯の強さも感じさせる複雑さを秘めています。
ガメイらしく、ボジョレーらしく、フルーリーらしく、
そしてジュリー バラニーらしい。
個性と純粋さが共存した絶妙のバランスを誇るワインです。
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