というベルナールの言葉に導かれ、この春オーレリアンを訪ねました。
ブドウの契約料を支払うために、昼間はニュイ・サン・ジョルジュの
ドメーヌで働いているので、夜8時まで待ってようやく会えました。
今年26歳になるオーレリアンは、明るくはにかみやで、
スポーツで鍛えたたくましい体つきのさわやかな青年でした。
長年モーターバイクのレースに興じ、
その腕前はブルゴーニュの若者の間では知れわたっています。」
オーレリアン・ヴェルデからの最新情報[2006/8/28]
若きオーレリアン・ヴェルデは、父と同じく誇り高くも、
自分の姓名をそのままワイナリー名にしています。
彼は、父親の名前だけでなく、畑と畑の手入れ、
造り方をそのまま受け継ごうとは思いません。
栽培・醸造学校で教わったことをふまえながらもそれにとらわれず、
自然派ワインなど現代のすぐれて個性的なワインに学びつつ、
ブルゴーニュで自分の可能性を模索している点です。
すなわち、完全に代替わりしたあとオーレリアンは、
オート・コート・ド ニュイにある自社畑は半分ちかくを売り払い、
ニュイにより良い畑ないしブドウを探し求めました。
結果的に現在までのところオーレリアンは、ブルゴーニュの中心地域で、
理想的な小作地(フェルマージュ)や折半小作地(メタヤージュ)を
入手することはできませんでした。
そのかわり、彼は最良のブドウを確保し、思いのままに手入れし、
収穫できるという契約を、畑の所有者と交わすことが出来ました。
父アランは、ブルゴーニュにおける有機栽培の先駆者であり、
ワインにオーガニックの認証をとりましたが、
オーレリアンは買いブドウから造ったワインに、
オーガニック認証をとろうなどとは考えません
(買いブドウから造ったワインに「オーガニック」を名乗ることは、
ワイン生産者の潔しとするところではありません)。
ただし、受け継いだオート・コート・ド・ニュイの
自社畑「ル・プリュール」では認証を得ていますが。
オーレリアンは、入手した各アペラシオンのブドウに対して、
SO2の使用量を可能なかぎり、ぎりぎりまで抑えています。
醸造段階で添加されるSO2は、醗酵中に消失してしまいます。
現在、その使用量をいっそう減らすよう努めているところです。
それ以外にもオーレリアンは、醸造・熟成過程で人工的な介入を
ミニマムにするのを原則にしています。
醗酵・浸漬期間は時間をかけ、30日までと長期にわたりますが、
エキス分の抽出もおっとりしたもので、
樽のなかでの攪拌作業(ピジアージュ)も回数はごく僅かにとどめます。
新樽比率はヴィンテッジ次第ですが、ワインの清澄・濾過は皆無です。
結論
昨今、ブルゴーニュのピノ・ノワールでは、
「色調と味わいが極端に濃い」系統と
「色は薄いが、エキスは深い」系統という、
相反するスタイルが同時に進行しています。
この10年間、ブルゴーニュの若い「考える造り手たち」は、
はざまのなかでピノ・ノワール酒のあるべき姿を捜し求め、
大きく揺れ動いています。
有機栽培で長期熟成型という
反時代的なワイン造りを貫いてきた父のもとで、
オーレリアンは小さい時からヴィニュロンを目指し、
すでにして独自の境地にあるコート・ド・ニュイを実現いたしました。
私もまた、コート・ドールで飽き足らない思いをつづけ、
ラシーヌ社でのブルゴーニュのあり方を模索してきました。
が、このほどようやく「一つのピノ・ノワールの理想的な味わい」を
ご案内できることを、心から嬉しく思っています。
とりわけ、オーレリアンが造る各種のアペラシオンは、
きっとブルゴーニュ・ファンに喜んでいただけると思います。
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