◆貝殻のセラー(カーヴ・オ・コキヤージュ)
当主ティボーの父パトリスは熱烈な化石マニア。
暇さえあれば地下のセラーを掘り進めること20年、
公開されている部分だけでも
その長さは300メートルを超え、
発見された貝殻の化石は古代の海底さながら、
壁に半ば埋まった状態で展示されている。
中でも「カンパニレ・ギガンテウム」と呼ばれる
巻貝の化石は長さ40センチメートルを超え、
彼のコレクションのみならず
シャンパーニュ・ルグラン・ラトゥールの
シンボルともなっている。
2011年に一般公開されたこのセラーには
年間一万人以上が訪れ、
ティボーの母アンヌが切り盛りする
シャンブル・ドットとともに
今や観光名所の一つとなっている。
もちろん本来の用途、つまりワインの
保管・熟成にも使われており、
一年を通じて気温12度、湿度95%という
理想的な環境を保つ。
それぞれの樽はティボーのパートナーにして
今は亡きパスカル・ルクレールの娘、
セゴが命名しており、
ソレラ用の30ヘクトリットルの
大樽は彼らの息子の名でもある
「ジュード」、という具合。
パトリスの化石発掘への情熱は、
地質学への関心という形で
息子のティボーへと受け継がれた。
シャンパーニュに広がる様々な年代の地層を
ワインに表現すべく、
地層年代別のシリーズを2022年にリリース。
各キュヴェにはリプレジアン、ル・カンパニアン、
ル・リュテシアンなど、白亜紀から古第三紀にかけての
地質時代の名が付けられている。
ヴァレ・ド・ラ・マルヌについて
マルヌ渓谷という名の通り、シャンパーニュ地方を
横切るように東西に流れるマルヌ川沿いに、
東西約80kmに渡って続く広大なエリア。
主要な畑は川の北岸斜面、つまり南向きとなるが、
川の南岸・北向き斜面にもブドウは栽培されている。
土壌は石灰岩以外に、粘土質や砂質なども
多様な土壌が現れる。
川の主流およびその支流がかたち作る谷の地形によって、
湿度が高く、また霜害も受けやすい。
そのため、開花が遅く収穫が早く、
病害に強いピノ・ムニエが作付けの8割近くを占める。
グラン・クリュは、トゥール・シュル・マルヌ村と、
南向きの急斜面を多く持ち
優れたピノ・ノワールを生むアイ村の2ヶ所。
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