野村ユニソンさんの資料より
2006年、「走り始めたサラブレッド」として日本に初登場した、アリアンナのファーストヴィンテージ「2004」。
今はもうすでに我々の想像を遥かに超えるほど、シチリアの枠を超えた素晴らしいクオリティワインに成長しています。
彼女が目指すものは、「シチリアの頂点」ではなく、バローロやブルネッロをも超える、
「イタリアの頂点」かもしれません。
22歳でミラノの醸造学校を卒業したアリアンナは、生まれ故郷であるシチリア南部のヴィットリアに2haの畑を購入し、
ネロ・ダーヴォラとフラッパートという土着品種にこだわり、2004年にワインづくりを開始しました。
ヴィットリアの有名生産者COS(コス)のオーナーであるジュスト・オッキピンティ氏の姪にあたり、
子供の頃からワインづくりに興味を持っていた彼女は、学生時代からイタリアを始めフランスなどの自然派生産者達と
情報交換をし、初ヴィンテージから驚くべきクオリティの自然派ワインをつくり上げました。
現在は7haの畑を持ち、前出の2品種の他にもカリカンテやアルバネッロという白ブドウも少量栽培しています。
彼女のワインは繊細かつしっかりとしたタンニンを持つ、フレッシュで柔らかく丸い果実味が特徴の「フラッパート」と、
長熟タイプの「ネロ・ダーヴォラ」との2種類です。それぞれの品種の個性は異なりますが、
どちらも色に黒みが強く、芯のしっかりとした頑強な部分と、それを包み込むような柔らかく優しい味わいが
くっきりと存在し、それはまるで彼女自身を現しているかのような、誰にも真似の出来ない個性を作り上げています。
2005年にシチリア初のDOCGである「チェラスオーロ・ディ・ヴィットリア」が制定されました。
このワインをつくるには、ネロ・ダーヴォラをメインにフラッパートをブレンドしなければなりません
(他にもブレンドを許される補助品種有り)。アリアンナは2006年からこのDOCGをつくり始めていました。
中樽1つ分しかない未来のDOCGを試飲してみると、あまりの素晴らしさに唖然としました。
未来へ向けての大いなる一歩を踏み出しているように感じました。
しかし、そのワインはまだ固く閉じていましたが、瓶詰めされて世に出る数年後には、
間違いなくシチリアを代表するワインとして評価されるであろう、驚くべきポテンシャルを備えています。
最近イタリア国内の新聞などで紹介される機会が増えた事から、
アリアンナはイタリア国内でアイドル的な人気を誇っています。それでも彼女はいつも真剣にワインと向き合っています。
「シチリアのワインとしては値段が高い」と指摘される事もあります。
しかし彼女は私たちが想像する、遥かそれ以上に高い「志」を持っているのです。
シチリア、というよりイタリアワインの未来を、この26歳の女性醸造家が変えていくかもしれません。
折りたたむ