昨年2018年夏、2度目のオーストリア訪問3日前に、
とある知り合いからその存在を聞きました。
すぐにコンタクトをとったところ『今は日本には輸出してないので
ぜひ一度ワインと畑を見にいらしてください』と。
いきなりメールでコンタクトを取ってきたアジア人、
そして本当に訪ねてきた見ず知らずの縁もゆかりもないアジア人。
それにも拘らず、到着後笑顔で快く迎えくれました。
そしてすぐに丁寧で熱く濃厚な試飲がスタートです。
おかげで次のアポイントに大幅遅刻してしまいました。
溢れるワインのエネルギー、それ以上にカールのエネルギーに惹かれてしまい、
いや押されてしまいという方が正確かもしれません。
熱い握手を交わしてきました。
オーストリア南部、ズュートシュタイヤーマルクの
サウザル山に畑とワイナリーはあります。
カール、エヴァの夫婦二人で畑仕事も醸造も行っており、
3人の息子たちがおります。
カールはウィーンの天然資源、生命科学専攻の大学で農業経営を学び、
エヴァは経済大学で経営学を学びました。
1997年と1998年、ブル ゴーニュでワイン造りの実際的な知識と経験をつみ、
帰国後自分達の畑とワイナリーをこのサウザル山にもちます。
黒ブドウを中心に急な丘陵斜面に現在 5haの畑があります。
最初から彼らはビオディナミの原則に従い畑と向き合い、
2003年にはすでにデメテールの認証も取っております。
サウザルの土壌は、珪質原成岩と石灰の粒子が
スレート状(板状となった石)となっており、
この珪質土壌がワインに豊かなミネラル感をもたらしてくれ、
さらに保熱効果ももち、ブドウに豊かな果実味をももたらしてくれます。
畑に撒くプレパラシオン調剤は、自社の畑や牧草地でとれたいらくさや馬の尻尾、
セイヨウカノコソウ、畜牛の角、etcを使い自ら調合する拘りようです。
ご存知のようにそれらは畑に活力を与えたり、光合成を促したり、
病原菌から守るために散布されたり堆肥として使用されます。
醸造は100%シンプルそのものです。
完全に健康で熟したブドウを醸造するだけ、畑に住む自然酵母の力だけ、
と彼は言います。
それはつまり、補糖・補酸・酵母・酸化防止剤など人為添加は一切せず、
清澄やろ過処理など故意的に何かを除去することもありません。
ピジャージュも手 で行い、ポンプも使いません。
全てのワインは発酵も熟成も227Lのブルゴーニュ樽で行われます。
『シュナーベルは”ワイン造りと
牧畜(牛)をとおして地球と繋がってきたんだ。
私たちはこの豊かな地球、自然の一ゲストにすぎず子孫から
この豊かな大地をかりているにすぎないんだ。
次の世代により良くより豊かなままこの大地を
受け継いでいかなければならないと考えているよ。
全ての農家、いや実際には全ての土地の持ち主、皆それぞれが持っている土地は、
この地球の一部であり全員 がその土地に責任があるんだよ。その土地を壊さず、
豊かな植物を守り育てる。
大切に守る、正しく元のまま残す。そういう義務があると考えているんだ。
私達の日々の行いや営みは、DNAに組み込まれているこの言葉に起因しているんだ。』
〝真のファーマーたれ〟
『その時のトレンドに向き合い従うのではなく、豊かな大地、
文化的にも価値が高い自然の産物のワイン、そしてそれらを愛する飲み手の皆様、
私達の人 生はそういったもののためにあるんだ。』
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