まずはこの畑の持つ特殊な土壌。
斜面の畑は場所によって、粘土質、砂質、砂利、
アルベレーゼ(石灰岩土壌)、ガレストロといった
複雑な地質がまるでモザイク画のように混在、
ブドウ樹の仕立ても複雑極まりない。
グイヨー、コルドーネバッソ、コルドーネアルト(これは彼の自作)、
アルケット トスカーノと様々な仕立て、
樹齢に関しても、46年(最も古くフランコ ピエーデ:台木なしのサンジョヴェーゼ)、
14年、7年、5年と様々な樹齢。
すべてを統一しないことで生まれる個々の特徴、違いこそが、
果実に大いなる個性をもたらし、醸造の過程で、
奥の見えないほどの複雑さ、変化となって表現されている。
醸造に関して除梗後、大型のセメントタンクにて
2~3週間に及ぶマセレーション、自然酵母による醗酵を促す。
パンチングダウン、液循環を行いつつ途中一切の温度管理を行わない。
熟成は大樽を用いて熟成を行うCaparsino、
トノー(500L)の木樽にて熟成を行うDoccio a Matteoという
2つのリゼルヴァを醸造。
伝統と適性、全く違う角度からのアプローチによって生まれた
2つのゼルヴァ、時間をかけて抽出したエキス分、
タンニンはワインに強い骨格と奥行きもたらす。
しかしその反面、長い熟成を必要とする。
長い時間を費やしたワイン造り、
パオロはこの土地の持つ複雑さを表現するための努力を惜しまない。
ビアンコは高樹齢(フランコ・ピエーデ)のトレッビアーノ、マルヴァージア、
酵母の添加など行わずに30~45日間の長い醗酵を行う。
瓶詰め前にごく僅かなSO2の添加のみ、ノンフィルターにてボトリング。
2012年から造り始めたロザートはカパルズィーノの畑、
開放式の木樽にてサンジョヴェーゼを2日間のマセレーション、
一切の酵母添加を行わず野生酵母のみで醗酵を行う。
若干醗酵が終わりきる前にボトリングすることで、
無防備なロザートをSO2の添加を減らし、
果実の印象を十二分に表現している。
初めてとは思えないほどの完成度を持ったロザート。
徹底したこだわりと奔放な探究。
ブドウ樹、地質、栽培、想像がつかないほどの複雑さ、
そしてラッダ・イン・キァンティの独自性、
そしてパオロの強烈な個性と感性は、
キァンティ・クラッシコに収まりきらないほどの存在感、
キャンティの概念から飛び抜けた素晴らしいワインを生み出している。
エヴィーノさんの資料より
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