栽培については農薬や肥料を使わない独自の栽培方法を貫き、
近年ビオディナミ式の栽培方法を取り入れた、
自然環境を尊重した栽培を徹底している。
さらに銅と硫黄、ボルドー液の使用を嫌い、
2019年は一部の区画で完全不使用での収穫までたどり着いた。
栽培しているブドウは地域を代表するピニョレット(グレケット)、
そして今はほとんど栽培されなくたった白ブドウのアリオンサと黒ブドウのネグレット。
どちらも1300年代よりこの地域で栽培されていた記録がある。
アリオンサは果皮がとても厚く酸が高い、
そして結実量が悪いため自然と収穫量が下がってしまう特徴がある。
ただ、その豊富な酸は標高のないこの土地合っていて、
その酸を生かしてエレガントなワインやスプマンテなどにも向いた
ブドウが収穫できるという。
ネグレットも同様に酸が高いが、糖度の上がりにくいブドウでもある。
結実量の少なさや糖度の低さ、こうした、ある意味「非効率なブドウ」は、
生産効率の高い国際品種に取って代わられた時代背景があると話すジョルジョ。
「ボローニャの平地でブドウを栽培することは、単純に考えれば非常に簡単。
土地も肥沃で収穫量も望めるけれど、そこにはクオリティは存在しない。
しかし、ピニョレットをはじめ本来この土地で栽培されていたブドウ品種は、
この肥沃で豊かな土地から、高品質なブドウを収穫するために存在してきたんだ」。
その言葉通り、ボローニャ古来のブドウを栽培するエリオーリ。
しかし、その本質的な素晴らしさは「土着品種」という言葉では片づけられない。
周囲の一般的なワイナリーと比較して圧倒的に違うのは「収穫時期の遅さ」、
つまり樹上で最大限の成熟を待つこと。
周囲では近年の暑さも8月下旬~9月中旬には
ほとんどのワイナリーで収穫が終わっているというのに、
彼が始めるのは9月中旬以降、特にピニョレット、カベルネ・ソーヴィニヨン、
ネグレットについては10月下旬まで樹上で成熟を待つ。
醸造については非常にシンプル、木樽やセメントタンクを用いて
培養酵母や温度コントロールなどを行わずに、
果皮につく自然の酵母が活動するのを待ち、時間をかけた醗酵を行っている。
根本的にブドウに不要な手を加えたくないジョルジョ。
樽の移し替えやボトル詰めにポンプは使わず重力を利用して行い、
SO2の添加についても極少量に抑えている。
また、彼の考えでは熟成に費やす時間が最も重要と考え、
シュール・リー(オリの上で熟成)状態での長期熟成を行い、
すべてのワインはオリ引きの回数が極端に少ない。
中でもピニョレットは5年以上の熟成期間にもかかわらず、
オリ引きはたった1回しか行わない事に驚かされます。
オリとともに長い熟成期間を取り、十分な熟成を経てワインをリリースする。
中でもピニョレットについては収穫から6年という長い時間をかけてリリースされる。
ピニョレットらしい親しみやすさを持ちながらも、香りと繊細さ、
何よりも熟成香を纏った素晴らしい状態。
しかし、「周囲の造り手のピニョレットと味わいが違いすぎる」という理由から、
DOC認定を通らなくなってしまったというジョルジョ、、、。
そのため、ワイン名はグレケット ジェンティーレ(ピニュレットの別名)となります。
彼曰く「すべてのワインは自分が好きで、美味しいと思えるものを造るんだ。
それがDOCを通らなくても大きな問題じゃない。
人と違うことを恥じるのではなく、自分自身が納得したものを造る、
表現することの方が楽しいじゃないか?」土地の伝統や背景を尊重しつつも、
その畑、醸造での徹底したこだわりを持ち、
時間を費やして生み出される最高のピニョレット。
これほどの造り手と出会えたことに心から感謝し、
彼の魅力的なワインをぜひ知っていただきたい、素晴らしい造り手の一人です。
インポーターのエヴィーノさんの資料より
折りたたむ