★野村ユニソンさんの資料より
ルーション地方の伝説のドメーヌ、
ル・カゾ・デ・マイヨール。
その主たる畑は、息を呑むほどの断崖絶壁にあり、
バニュルスの町を見下ろし、
地中海の風をまともに受ける岩盤に、
へばりつくように植えられたブドウの樹。
それが「ワイン界の自然遺産」とでも言うべき、
ル・カゾ・デ・マイヨールの畑です。
その遺産の番人を長らく務めていたアラン・カステックスは
2015年の栽培を最後にル・カゾ・デ・マイヨールを
次世代の若者に託して、その身を引きました。
「この急斜面での仕事が辛くなってきたからね。」
「ワインは土壌だけでなく、
畑の周りの環境全てで生み出される。
与える影響は環境が70%で土壌は30%。」
とアラン・カステックスは語ります。
ル・カゾ・デ・マイヨールはまさにこの環境に
恵まれた畑を有していました。
暑く乾燥した気候、海からの風、強い香りを放つ
野生のハーブ達の低木草、海から太古に隆起した
厚い岩盤と薄い表土、急峻な斜面など
ワイン造りの環境としては最も過酷と言えるもの。
しかしこの場所だけでしか生み出せないワインがあり、
彼はそれを求めてこの場所でワイン造りを続けていました。
「いいワインを造るためには、
ブドウ栽培はきついものになる。
だからせめて畑の場所は景色がいい場所がいい。」
そう話していたアランも人生の
次のステージに進むタイミングがやって来ました。
ル・カゾ・デ・マイヨールのワインには
2つのシリーズがありました。
急峻な畑で生み出されたブドウからは、
ブルゴーニュ型のボトルに詰められたワインを、
そしてなだらかで標高も低い区画のブドウからは、
ボルドー型のボトルに詰められたワインを
手がけていました。
ル・カゾ・デ・マイヨールを離れ、
新たにレ・ヴァン・デュ・カバノンという
ドメーヌを立ち上げたアラン・カステックスは、
この平滑な畑のブドウと
近隣の友人からの買いブドウを加え、
かつてボルドー型のボトルでリリースしていた
シリーズのワインを造り続けています。
過酷な仕事に全身全霊を捧げていたアランが、
もう少し肩の力を抜いた形で、
人生を楽しみながらワイン造りを続ける、
そういう姿が今後は見られるのだと思います。
野村ユニソンさんの資料から
過去の取扱いアイテム一覧
https://www.sakemorita.com/old/lesvinsducabanon_a.html