ですので、挨拶もそうそうに、「残念だけど、
オレはピエモンテーゼ(ピエモンテ人)じゃないよ。
それでもいいのなら、、、」という話はじめ、、、(笑)。
彼は生まれたときからずっとモンフェッラートで、
もう60年近くモンフェッラートに住んでいるっていうのに、
地元ではいまだに「よそ者扱い」だなんて、、、汗。
そんな経緯があるからなのか?それとも彼の個性からなのかは、
まだわかりかねますが。
ピエモンテらしい常識や固定観念といったものに捕らわれず、
独自の考察と価値観のもとワイン造りをしてきたという、
驚きのブドウ栽培&ワイン造りをしている造り手です!
畑はサンジョルジョの町に点在する合計10ha、標高200m~250mの丘陵地帯、
モンフェッラートらしい豊富な粘土質に加えて、表土は砂質に覆われた土地。
また、畑のポジションによって
ブドウのキャラクターに大きく変化があるというダニエーレ。
(今回は時間が足りなくて、畑ごとの違いまでは話せませんでしたが、次回は!)
豊富な粘土質を持ちながら、砂が多く雨が多くても湿度や
カビの問題が起きにくい彼の畑、さも当然のように農薬や化学肥料は使わないし、
使う必要がないという彼。
ブドウはバルベーラを中心にグリニョリーノ、フレイザ、ティモラッソといった
モンフェッラートの地域品種が中心。
中でも、今回初めて名前を聞きましたブルッサネッロというブドウ、
リースリングイタリコとフルミン(トカイのピエモンテでの呼び名)を掛け合わせ。
アレッサンドリアで1900年初めには存在していたブドウだといいます。
特に湿度を嫌うグリニョリーノやフレイザ、そして栽培の難しいティモラッソなど、
ダニエーレの考える土地や気候環境に寄り添った栽培にとっては
けっして切り離して考えることはできません。
「土地の気候・特徴に適応するように育ってきた、それがこうした地品種。
人為的な介入を減らしたければ、グリニョリーノやフレイザ、
バルベーラを栽培するのは当然の選択さ」、
水はけが良く湿度がない環境で生まれた品種だからこその相性という
ことなんですよね。
ダニエーレ曰く、「果実の完熟とは、ブドウ樹としての種の繁栄という
大きな仕事の一歩手前だと思うんだ。
そのために最も大切なことは種が完成すること。
その完成した種を補助するために果皮と果肉は存在するのさ。
だから、果実としてのゴールは種が色づいて固くなる状態。
収穫を決めるのは糖度計でも見た目でもなく、一粒とって食べたとき、
種がしっかりと熟しているかどうか。」 彼の言う最高の収穫、
果実を限界まで樹上に残し、
完熟しきったブドウのみを選別して収穫します。
その時点で、まだやや若い果実や種子の完熟が見込めない部分は
収穫しない(最後に収穫して、量り売り用のワインに、、、)という、
極限まで熟したブドウのみを収穫するという彼の考え。
そのため、10haの畑を持ちながら、ボトル詰めするのは
20000本に満たないという少なさ!
(収穫したブドウの80%はボトル詰めさえしないんです、、、。)
収穫の時点で、ものすごい凝縮と糖分の上がったバルベーラは、
収穫後カンティーナで一晩休ませる。
収穫の時点で持った「ブドウの熱」を涼しいカンティーナで休ませることで、
緩やかに醗酵が始まるというダニエーレ。そうすることで、
醗酵不良のリスクやトラブルをある程度回避することができる、
さらには添加するSO2の量も大幅に抑えることができるといいます。
必要以上の添加が、ワイン自体にある種の硬さ・不自然さを与えてしまう事を
十分に理解している彼。
樹上で脱水が始まるほどに熟成したバルベーラ。
そしてブドウの持つ要素を最大限に引き出すため、
50日を超えるマセレーション(果皮浸漬)を行っているんです!
まるで伝統てきなバローロにも負けないほどの長い時間、、、汗。
しかもグリニョリーノやフレイザ、他のワインにおいても全く一貫した考え方!
年によっては2カ月を超えることもあるマセレーション。
「グリニョリーノは一般的に短期間の醸ししか行わない。軽い色合い、
軽い味わいから川魚に合わせたり、
白ワインのような飲み方をされてきた歴史がある。
しかし、それはグリニョリーノの持つタンニンの質の違いを
理解していないだけとしか思えないんだ。
実際に自分のグリニョリーノは50日近く果皮を醸しているけれど、
他のグリニョリーノに感じる香りや雰囲気は全く失っていないだろ?」
バルベーラについてはもちろんですが、グリニョリーノ、フレイザも同様に、
果皮・種子の持つ要素をすべて出し切るという彼の考え、
しかも現時点でリリースしているのが2010というヴィンテージ、、、汗。
当然のことながら、それだけ果皮や種子からの抽出を行えば、
強いタンニンを含んでいることも明らか。
ワインとして完成するまでに長い時間がかかる、
それが当然と言い切ってしまうダニエーレ。
バルベーラの質感、と立体的な味わいは本当に素晴らしいですが、
それ以上にグリニョリーノ とフレイザの個性には正直驚かされっぱなし!
彼にフレイザの2010をブラインドで飲まされたとき、、間違いなくバローロ、
もしくは熟成したネッビオーロだと答えてしまいました、、、恥。
それほどまでに迫力を持った彼のワイン、ホント待ちきれません!
そして、ボトル詰めするワインのほとんどは、スクリューキャップ!
毎年、ボトル詰めする量の少ない彼。さらに近年、
質の良いコルクが手に入らなくなっている現実的な問題、、。
合成のコルク、シリコン、王冠など、、、彼なりにいろいろと実験した結果、
スクリューキャップを選んだといいます。
「スクリューキャップは長期の保存ができない、
そう言われるけれど本当にそうだろうか?コルクの本来の役割を考えた場合、
そのすべての要素を備えているし、さらにはコルクの状態によって
熟成期間による差や状態が変化したり、ブショネのような現象も起きない。
実際に自らボトル詰めした2008年のバルベーラ、
ボトル詰めしてから約6年経過したこのワイン。
全く正常な状態だと思わないか?」 そういわれて、
パチパチパチッとワンタッチで開けたバルベーラ ”ミネルヴァ”2008、
想像を超える雰囲気と味わいに驚かされました、、、。
後半は、ほとんどのワインをブラインドで飲まされるという展開に、、、。
(すいません、今回話に集中し過ぎて、写真が全然残っていませんでした、、、)
それにしても、畑ごとの特徴、ヴィンテージによる特徴で、
全く違う切り口で表現するバルベーラの話に
フレイザのヴィンテージごとの飲み比べ、
そしてリリースが間に合わなかった白ワイン、、、etc
まだまだ話し足りませんでした、、、泣。
この日は奇しくもパスクワの翌日!こんな日に歓迎してくれたダニエーレに
心から感謝ですが、たった一日ではまだまだ底の見えない男ダニエーレ。
今年中にももう一回、じっくりと話したいです!
なんとも素晴らししくも個性的な(笑)造り手でした!
インポーターのエヴィーノさんの資料より
折りたたむ