2006年3月、最も尊敬するジャン・ポール・ドメン
(ドメーヌ・ヴィルランベール・ジュリアン)の下で働き始め、
ラングロールらとの交流を深めていきました。
2007年、祖父から受け継いだ土地を売り、
ロゼの銘醸地タヴェルから南西6キロに位置する
ロシュフォール・デュ・ガールに4.5haの 畑を購入しました。
同年8月にはジャン・ポールの元を離れ自分のドメーヌを設立。
小さな区画にいくつもの品種が混じる「コンプランテ(混植)」といわれる畑は
10年近く放置され野生化していたため
「そんな畑を買うなんて頭がおかしいんじゃないのか」と
何度となく言われたといいます。
ビオロジック栽培も昔ながらの地主さんたちには理解し難いようですが、
「クレイジーだと思われても自分が正しいとおもうことはやり通す」と
ニコラは自分が選んだやり方を断固として変えず、
ビオロジック栽培を貫き通しています。
彼の目的は醸造家になり、個人のカーブを持つこと。
しかしニコラはカーブを持つ前にまず「醸造能力」そして
「テロワールのポテンシャル」を確かめる必要があることを
十分に理解していました。
2007年9月、彼は自分の家のガレージをカーブへと建て直し(15m2 )、
20hlだけ醸造してみました。
ロー ヌ地方のdur(固い、重い)なワインを好まないニコラのセンスは繊細で、
結果は思っていた以上に素晴らしい出来栄え。
自分自身も大いに納得し、 これを機にル・クロ・デ・グリヨンが
本格的にスタートすることとなりました。
多岐に渡る品種が渾然と鬩ぎ合う畑は43区画に分かれ、
「品種によって熟す タイミングはもちろん違うけれど、
ブドウの樹1本の中でも日の照りや風の抜け方が違う、
まさにミクロクリマなんだ。
だからブドウの個性ごとに収穫することができ
自然とバランスが取れる」と言います。
砂地が多い区画は馬で耕し、樹齢の高い区画は微生物の働きを
かえって悪くしてしまう為あまり耕し過ぎないようにするなど
畑によってそれぞれの手当てを行っています。
そのためブドウがとても良い状態で収穫され、
そのポテンシャルの高さがワインの味わいに反映されているのです。
良く選果した完熟したブドウは自生酵母のみで自然醗酵、
ステンレスタンクでシュールリー熟成後、無濾過、
SO2をごく少量添加し瓶詰されます。
地質学を極めたニコラならではの畑と真摯に向き合う職人気質な姿が
今でも目に焼きついています。
ディオニーさんの資料より
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