耕作するにも骨の折れそうな、斜面の畑は、ジュゼッペの情熱を掻き立てた。
家業がワイナリーではなかったジュゼッペだが、ガストロノミーの世界には常に、
興味をひかれていて、趣味として料理教室へ複数通ったりもしていた。
料理への興味は、ワインペアリングへの興味となり、
次第にワインそのものへの興味へと深く向かっていくことになる。
以前はほとんどアルコールを飲まなかったというジュゼッペ。
しかし、ソムリエコースの受講をし、一度ワインの勉強を始めると、
ワインの世界全体へと興味は広がり、ワインの味だけではなく、
歴史や醸造についても深く掘り下げていくことになった。
ヴァルディソーレはこのようにジュゼッペの好奇心から生まれた。
ワインへの強い情熱と独創的で本質的だと感じれば、
どんなことにでも情熱を傾けるジュゼッペは、
常に古い習慣や新しい技術を実験している。
このことが彼らのワインが伝統的だと評されにくい理由にもなっている。
彼らのワインにはしばしば、予期するような
「典型的」ではない色や香りがあるが、
彼らにとって、その色や香りは進化し続ける哲学の表出であり、
時に幻想的で、時には狂気的である。
ひとつだけ、不変的な原則があるとすれば、ブドウ畑からワイナリーまで、
ワイン造りに使われる唯一の原料は葡萄であることだ。
ヴァルディソーレでは、化学合成の農薬や
近代醸造のあらゆる醸造補助・促進剤を使わずに
ナチュラルな慣習に厳密に従っている。
合田さんのコメント
2015年から新たにワイン造りの世界に飛び込んだジュゼッペと、
パートナーであるギリシャ出身のキリアキの二人が目指すのは、
自由な発想でありながらも、
あくまで土地と“伝統”に忠実なワイン造りです。
情報発信にもかなり力を入れています。
と言うより、SNSでの発信が好きで、うまく活用しています。
ジュゼッペの世代では、オレンジワインという言葉に
抵抗のある(一言いいたいことのある)、上の世代とは違い、
“ オレンジワイン:トレンドか原点回帰か? ”
というタイトルの記事を、自身のワイナリー説明に載せるほどには、
オレンジワインという言葉が、当たり前の言葉になりつつあるのでしょう。
HPが英語でしか書かれていないのにも、ちょっと驚きました。
トリノで別の分野で働きながらも、ジュゼッペ・アマートは
ガストロノミーの世界に魅了されてきました。
興味の対象は次第にワインそのものへと深く向いていき、
2015年に自分のワイナリーを持つ夢をかなえます。
ワイン造りが家業ではなかったジュゼッペは、
ある日web上で売りに出されていた、
0.5ヘクタールの小さなネッビオーロの畑を目にします。
後日、実際の畑を目にしたときに、ジュゼッペの心は決まりました。
太陽“ Sole ”の谷“ Val ”という名前からも分かる通り、
真南向きの斜面に植わる樹齢60歳の畑に、彼の情熱はかきたてられました。
ジュゼッペのワイン造りには、
地域やワインそのものの歴史と、現代のナチュラルワインムーブメント、
尊敬するアルザスやフリウリの生産者たちから、
多くの影響を受けていることが 分かりやすく見て取れます。
その分かりやすさを感じさせない造りができるようになってくると、
さらに面白いワインになるだろうと期待しています。
現在は、ロエロの砂質土壌由来のタンニンを強く感じさせないよう、
果皮成分の抽出には気を付けていますが、
アルコール度数も14%前後と、
果実の成熟の感じられるワイン造りをしています。
2019年現在トリノに住みながら、
ロエロの畑とモンフェッラートにある醸造所を行き来していますが、
「一刻も早く、畑中心の生活にしたいのだけどね」と、ジュゼッペは話しています。
インポーターのラシーヌさんの資料より
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