歴史:現オーナーのトーマス・ヘンゼルと妻ウテ・フェルは、
    ファルツのブドウ畑が遠くまで見渡せる高台にあるこの土地が大変気に入って、
    1998年に購入した。もともと19世紀初めに近郊の
    ヴァッヘンハイムの市長だったヨハン・ルートヴィヒ・ヴォルフが
    ブドウ畑を開墾し、週末に過ごす別荘として建築した地所だった。
    その後ダイデスハイムの醸造所の手に渡り、
    1992年以降ヘンゼル夫妻が購入するまでビオロジックで栽培されていた。
    2004年に栽培醸造責任者としてアンドレアス・シューマンを起用し現在に至る。
 造り手略歴:アンドレアス・シューマン、1978年ダイデスハイム生まれ。
       高校卒業資格(アビトゥア)を取得後、
       兵役の代わりに社会福祉体験を選んでバート・デュルクハイムにある
       障害者施設で、知的障害者達とともにブドウ畑の世話やワイン造りを行う。
       Dr. ダインハート(現フォン・ヴィニング)、Dr. ビュルクリン・ヴォルフ、
       ミュラー・カトワールといったファルツの著名生産者での研修を経てから
       ガイゼンハイム大学で栽培醸造を学び、醸造学士の資格を取得。
       在学中にビオロジックの先駆者として知られるラインヘッセンの
       ヴィットマン醸造所でも研修。2004年より現職。
 哲学:徹頭徹尾ビオディナミで栽培している。
    必要なプレパラートは全て自家製で、ハーブもブドウ畑の周囲に
    自生しているものを集める。ワインには少量の亜硫酸以外は何も加えず、
    清澄せず、培養酵母も使わず、醗酵温度の調整も行わず、
    フィルターも必要最小限に留めている。
    全部で5.7haのブドウ畑の一部の区画では、
    2008年から試験的に剪定を一切行わず、ブドウ樹本来の成長に
    任せた栽培を行っている。
    ビオディナミで栽培することは自然のリズムを理解し、
    尊重しつつ作業することだ。
    栽培醸造に必要なものを出来るだけ外から持ち込むことなく、
    自給自足に近い形で取り組むことで、
    この土地のもたらす個性を明確にワインに表現することを目指している。
 畑について
 栽培方法:ビオディナミ
 その栽培方法の開始時期:2006年(1992年以降の前所有者の頃から畑では
             ビオロジックで栽培していた)
 その栽培方法を適用している畑名:全て
 栽培方法の将来的な展望:これからもビオディナミを続ける
 認証機関:デメター
 土壌:雑色砂岩、玄武岩、貝殻石灰質、コイパー、砂質から粘土質まで様々。
 微気候:海抜350mとファルツで最も高い位置にあるため、この産地で一番冷涼。
     他の畑は全て海抜約200m以下にある。
 自社ブドウ畑面積:5.7ha
 契約ブドウ畑面積:0.6ha
 自社ブドウ畑の数:10ヶ所
 自社栽培ブドウ品種:6種
 ブドウ以外の自社農作物:ブランデー(ゲヴルツトラミーナー、リンゴ)、はちみつ、
             牛肉(夏場はブドウ畑の周辺で牛を放牧している。
             牛糞は肥料やビオディナミのプレパラートに用いる。
             ミツバチは巣箱をおいて、
             ブドウ畑の周辺の植物の受粉や生物多様性の
             維持向上に貢献している。
 ブドウ畑以外の自社畑総面積:10ha
 主な仕立て方法:ギュイヨ、一部で無剪定栽培
 仕立ての支柱の素材:木
 仕立ての添え木の素材:金属
 堆肥:家畜の糞・自家製
 醸造について
 酵母のタイプ:野生酵母
 圧搾方式:空気圧式プレス
 醗酵容器:ステンレスタンク(100~2500L)、地元産木樽(225~500L)
 熟成容器:ステンレスタンク(100~4800L)、地元産木樽(225~500L)
 セラー環境:19世紀に建築された洋館の地下にあり、
       88㎡とこぢんまりしている。ブドウ畑に隣接。
 年間生産ボトル本数:30,000本。
 ラシーヌさんの資料から。
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